気持ちと時間にゆとりが出てやり始めたこと。
ぬか漬けと鰹節でだしを取る。
この二つは小さい頃の食経験が大きく影響している。
小さいころ月に一回、都下保谷市(当時)に住んでいた親戚の家に行っていた。
両親共に北海道出身だったので、関東に住んでいる親戚がとても少なかった。
祖父の姉で厳密には違うのだが、便器上、伯母さんとする。
この伯母の料理がとてもおいしく、特に鰹だしから作る醤油味が絶妙であった。
関西の人が見たら、ギャァと言いそうな東京風しょうゆ味の黒い汁だが、あの味はよそで味わったことがない。
伯母は蕎麦やほうとうなどで汁を作る時に、小学生くらいの私に味見をさせる。
これが嬉しくて、んーあとちょーっとだけ塩かなー、とか言うと「そうかい、そうかい」と塩をちょーっと入れてくれるのだ。
おでんを作るにしても何にしても、必ず鰹節をその度に削って作っていた。
鰹節が小さくなって削れなくなったものを取っておいて、遊びに行った時におやつにくれる。
黒くてダイヤみたいにピカピカで、口の中でずーっとしゃぶっているとだんだん柔らかくなってくる。柔らかくなればツナ味でおいしいのである。
もうひとつの楽しみが、ぬか漬け。台所の床下の瓶にぬか床があった。
私たちが行った時に程よく漬かるように計算をしていてくれた。伯母がぬか床から漬物出すのをいつも眺めていた。
夏場はここでもおやつが貰える。茄子まるまる1個を酸っぱくなるほど長くつけておいたのをもらう。ヘタを切り落とした切口から汁をチューチュー吸うのだ。さんざん吸って最後は食べる。
吉祥寺の小笹の最中なども買っておいたくれたけれど、当時の私が好物だったのは小さくなった鰹節や酸っぱい茄子のぬか漬けだった。
母も伯母にもらってぬか漬けや鰹節に挑戦したが、挫折した。
味噌汁は父の好みで煮干しだしだった。
気持ちと時間にゆとりが出て、ていねいに暮らしたいと思ったときに手を付けたのは、ぬか漬けと鰹節でだしを取ること。
はたから見たら唐突に見えたかもしれないけれど、自分の中では整合性の取れていることなのです。
食育というか、幼いころの食経験というのは大人になっても消えることがないのだと身をもって体感した話でした。
ぬか床は母親に触らせないカメラマン
Satosee!
おいしい暮らしをお手伝い - 越後三条 鰹節削り器の台屋 Dried bonito shaver
私が買ったのはここの鰹節削り器
鰹節削り器 赤香 SK×ブナ
鰹節は的場水産